2015年8月号 リズム天国 ザ・ベスト+

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リズム天国 ザ・ベスト+
より間口の広くなった"リズムゲーム"のヒミツに迫る!

※このインタビューはニンテンドードリーム2015年8月号(6月20日発売号)に掲載されているインタビューを抜き出したものです。全編は本誌でご覧ください


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任天堂 企画開発部
米 政美さん
ディレクター。GBアドバンスの初代からサウンド担当として参加。


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任天堂 企画開発部
畠山 巧さん
Wii版『みんなの〜』から参加のアシスタントディレクター。


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任天堂 企画開発部
竹内 高さん
GBアドバンスの初代から本作まで、キャラクターデザインを担当。


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任天堂 企画開発部
正岡 隆史さん
DS版『ゴールド』からシリーズに参加。プログラムを担当。

なんでこんなシュールなゲームやってるんだろ...?

ーー 初めに、この作品が生まれたきっかけを教えてください。
 いつも企画が始まるときはつんく♂さんとだいたいのコンセプトを話し合います。前回はWii版でしたが、つんく♂さんは『リズム天国』をもう一度携帯機で作りたい、とおっしゃっていて。
ーー それでニンテンドー3DS(以下3DS)での発売に。
 はい。それと、シリーズも3作続いてきて、ゲーム内容が少し難しくなっていると感じていまして。今回は初めて遊ばれる初心者の方にも入りやすい仕組みを取り入れようと決めました。同時に、シリーズを続けて遊んでくださるファンの方にも納得できる仕上がりも心がけて...。今回は過去のリズムゲームも収録していますので、それを新鮮な気分で遊んでいただけるような仕組みも入れたつもりです。やり込み要素であったり...。
ーー ストーリーを追いかけながら遊ぶのもすごく新鮮でした。
 そうですね、ストーリーに関してはお客さんのモチベーションを上げるきっかけになればと思いまして。これまでのシリーズでなかなかクリアできなくて、途中で投げ出してしまう方もいたと聞いていましたので、それを何とかしたいなと思いました。あと、タイトルにある「天国」という言葉にも、そろそろ触れておいたほうがいいかなと思いまして(笑)。
ーー 展開はかなりシュールですけど...。
 そうなんです。リズムゲームも毎回、かなりシュールじゃないですか。「なんで僕はやっきになって、こんなシュールなゲームを遊んでいるんだろう」と思われる人もいたそうで...。ストーリーを入れることで目標を見失わないよう、リズムゲームの合間に物語が進むようにしました。
ーー 物語も『リズム天国』ぽいですね。
 普通、ストーリーというと世界観がガッチリしていて壮大なイメージがあるじゃないですか。でも、そんなものをまったく感じないところは『リズム天国』っぽいと言えるかもしれませんね(笑)。
ーー シナリオを書かれたのは米さん?
 そうです。キャラクターデザインや背景などは竹内にまとめてもらいましたけども。
ーー サウンドを担当していたのが、今回はディレクターもシナリオもやって...。
竹内 米はイラストも描くんですよ。
ーー デザインをお願いするときもイラストでイメージを伝えたり?
竹内 そうです。だいたいそのまま仕上げていく感じで...。
 そんなことないでしょう(笑)。おおまかな物語の構成をまず書きまして、それでデザインしてくれたキャラクターを見ながら「この人はこんな性格なはずだ」といろいろ考えましたよ。スタッフのみんなとのやりとりでできあがったんです。


練習の「お助けリズム表示」は説明員の肩ポンをヒントに

ーー リズムゲームは、それぞれどのように作られていくんでしょうか?
 決まった作り方はありませんが、1つの例をご紹介すると、まず私がゲームのネタを考えて、正岡にプログラムしてもらいつつ、竹内に仮の絵をつけてもらって実験します。それで遊んだ感じを見ながら、僕を含めたサウンドスタッフが仮に音をつけていくと。ここで一度ゲームとして成り立っているのかを確認します。
ーー つんく♂さんにも見ていただくんですか?
 はい、それでいけそうなものをつんく♂さんに見ていただきます。つんく♂さんには「このきっかけ音じゃタイミングがわかりにくい」といったアドバイスをいただいたり、サウンドの監修をしていただいてるのですが、ゲーム性もしっかり見てくれるんです。僕らは、たとえば「ここのリズムは裏拍でボタンを押してもらおう」とかひとネタ入れたくなるんですけど、つんく♂さんはいつもお客さんの視点で見てくれて。
ーー 開発のみなさんとはまた違った見方をしてくれるんですね。
 初めて遊ぶ方にもわかりやすくなるような、新鮮なご意見をいただけるのがありがたいです。
ーー 練習のとき下画面にマークが出てくるのは初心者の方にも親切ですね。
 社内でいろんな人に試遊してもらった時、練習で詰まってしまう人がいたんです。
ーー それで、押すタイミングをわかりやすく下画面に表示することに。
 はい。タイミングもそうなんですけど、1小節単位にリズムを刻むこともわかりやすく視覚化しています。特に小さなお子さんは4分の4拍子のようなことも習っていませんし...練習くらいは視覚化して伝えたかったんです。
畠山 以前、新作ゲームの体験イベントで『リズム天国』を遊ぶお子さんを見かけたんですよ。だけど少し難しそうで...。横にいた係のお姉さんが、その子の肩をたたいてタイミングを教えてて。そんなきっかけを、ゲームの中でも取り入れたのが練習の下画面ですね。
ーー お姉さんの肩ポンがヒントになったんですね(笑)。

過去のリズムゲームも新鮮にタッチ操作でも新鮮に!


畠山 『リズム天国』のお約束としては、画面を見てボタンを押すタイミングがわかっちゃダメなんですけどね。
米 いわゆる目押しができちゃうとリズムにノったことになりませんから。
畠山 練習の段階では、タイミングを覚えるきっかけとして、あえて目で見てわかるようにしました。本番では下画面にボタンのマークはでませんので、リズムに乗ってもらえたらいいですね。
ーー 過去のリズムゲームのリバイバル収録は、初めから決めていたんですか?
 一番最初からではないです。やはりここまでシリーズを重ねてきて、リズムゲームがどんどん複雑になり、僕たちもマニアックな方向に進みがちになる...という状況があって、ここは一度原点回帰しようという気持ちがありまして。
ーー 初代のゲームボーイアドバンス(以下GBA)版からもう9年ですもんね。
 今小学生くらいの方はほとんどGBA版をさわっていないんじゃないかと。でもあれを今遊んでも、古さは感じないよねと僕たちは思っていまして、初代はとてもシンプルなものが多かったですし、初心者の方に入りやすいこともあって収録することにしました。
ーー ニンテンドーDS(以下DS)版『リズム天国ゴールド』ではタッチ操作で遊べたゲームが、今回はすべてボタンでも遊べるんですね。
畠山 理由はいろいろあるんですが、その1つはシリーズの垣根を越えた「リミックス」を作りたかったからなんです。
ーー 今回の「リミックス」は過去作新作入り乱れて、1曲を遊ぶんですよね。
畠山 はい。そうしたときに、ボタンで遊んでいるところで急にDS版のリズムゲームが入ってきても、タッチペンに持ち替えることってできないので...操作を統一する必要があったんです。
 もちろん、ボタンよりもタッチ操作のほうが入りやすい、というお客さんもいらっしゃるんですよ。ゲームを普段遊ばれない方は特にタッチのほうが遊びやすい。そこで、今回は「かんたんタッチ」という操作方法もできるようにしました。すべてのリズムゲームをタッチ操作だけで遊べるようになるんです。ボタンではABボタンや十字ボタンなど、押し分ける必要のあるゲームも、すべて同じタッチでできるところが「かんたん」なんです。
正岡 僕らはゲーム屋ですから、違うボタンを押してもらったほうがゲーム性が上がって楽しいと思ってしまうんですけど、つんく♂さんは「ボタンの押し分けのような難しいことを考えなくても、同じボタンでいいのでは」と、過去作を作っているときからからたびたびおっしゃっていて。
畠山 結果的にですけど、たとえば『リズム天国ゴールド』にあった「アイドル」は、今回の「かんたんタッチ」操作でもDS版と同じような感覚で遊べるようになったと思います。


あと少しでハイレベルなのに! と思わず熱くなるスコア表示

ーー リズムゲームの結果表示が、今回から100点満点の表示になりましたね。
 そうですね、これまでならハイレベルを獲得したらそれでオッケー!だったんですが、ハイレベルの中でも90点だったり95点だったり...幅があるので、よりハイスコアを目指すやり込み要素として取り入れた面もあります。
畠山 これまでは、「この出来でなんで平凡なんだ!」みたいな感想を持たれる場面もあったと思うんですけど、その解消も考えて細かい数値も表示して、あとどのくらいがんばったらハイレベルかをわかるようにしたかったんです。
ーー 今までのシリーズでも、内部的には100点満点だったりしたんですか?
正岡 はい、画面には表示していませんが、100点満点の計算をしていました。
 え、そうだったの?
正岡 はい(笑)。ですが、ハイレベルや平凡といった評価と点数計算はまた違う基準だったんです。点数はノリ感の数値を出すのに使っていました。
ーー 平凡やハイレベルは、単純にリズムに成功・失敗した数で評価されていたんですか?
正岡 いえ、それ以外にも個別の場所によって重みが変わっていました。ここはキメてほしい、という場所はポイントが高いような感じで。
ーー 『ザ・ベスト+』で追加された「キメ星」みたいな?
畠山 そうですね。
米 これもモチベーションを高くもってもらえるための工夫ですよね。「あとこれだけがんばったらハイレベルが取れるんだ」と、がんばってもらえたらいいかなと。
ーー- なるほど...。ところでハイレベルでも90点と言われるとどうしても100点を狙いたくなるんですが...。
 リズムゲーム1つを通しで、すべてジャストタイミングで押さないと100点になりませんから、相当難しいと思います。
ーー みなさんのハイスコアは?
畠山 僕は97点だったかな...。
正岡 リズムゲームにもよりますが、僕は98点ですね。
 95点取れたらかなりすごいですよ。
畠山 まあいつかは100点取りますけどね。
ーー (笑)。ちなみに100点を取るとハイレベルより上のご褒美画面が出たり?
 いや、それはないです。
ーー それは安心しました(笑)。


テビリくん誕生秘話やヤギ、ゲーム中の声のお話など、続きはニンドリ8月号をご覧ください!


リズム天国 ザ・ベスト+
ハード:ニンテンドー3DS
価格:4700円(税別)
公式サイト
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