糸井重里 MOTHER3について大いに語る

イオニアちゃんマジプシー心をわかっている糸井さん

─ それではそろそろゲームの話題に…。「奇妙で、おもしろい。そして、せつない」っていうキャッチコピーに沿って語っていただきたいんですけど、3章でヨクバが配る「シアワセのハコ」は奇妙ですよね。
糸井 みんなはあれをテレビって決めちゃってますけどね。
─ ええ(笑)。
糸井 決めるなよ!って(笑)
─ でも、アンテナが立ってますし、テレビなのかなあと。
糸井 うん。だから、テレビみたいだな〜というような絵とかは、開発途中でどんどん描き直しました。あの箱には何も映ってないし。
─ パソコンでもないわけですね。
糸井 パソコン? わかんない、わかんないんです。だから「シアワセのハコ」なんですよ。だから、もしかしたら水道管かもしれないですよ(笑)。
しあわせのハコ
↑光ったり、ふるえたり、このハコは一体?
─ 登場人物で言うと、マジプシーの存在もすごく奇妙です。
糸井 あの存在自体が、溶け込んだキマイラみたいなものですよね(笑)。男と女の接合体なんだか。
─ マジプシーに会う前に、「男でもなく女でもなく、人間でもない存在」って言われたので、どんな怖い生き物が出てくるんだろうと思ってました(笑)。
糸井 あれは、絵を描いた人のお手柄です(笑)。
─ ホント素敵な人たちですよね。
糸井 ゲームの世界ってマッチョですから。戦って強いものが正しいんですよね。悪の方にもそういうヤツがいて、つまり強さが正義みたいなとこがある。パワー イズ ビューティフル。で、そんななかで、自分が死んじゃうことすらも受け入れていて、さらに男でも女でもないってヤツが、もし自分の身近にいたとしたら…。『MOTHER3』をプレイする人たちには、そんな彼らをいじめる子になって欲しくないんですよ。そういう子たちが一緒にいるワールドで、一緒に遊んで欲しいんです。
─ 糸井さんがホントにマジプシーのような存在を尊敬している気持ちが伝わってきました。
糸井 尊敬してますよ。僕の知り合いにマジプシーがいて…。
─ やっぱり!(笑)
一同 (笑)
糸井 「ほんと糸井さんは、マジプシー心をよくわかってる」って言われたくらい(笑)。とくに美意識の部分で…、なんていうの、人が執着しているものじゃないところに、彼らの美意識があるっているあたりの表現が、やってて泣けるほどうれしかったって。
─ 交友関係の広い糸井さんじゃなきゃ描けない世界ですよね(笑)。
糸井 僕は、そっちの人ではないんですよ。だけどすごく好きなんです。あのような人たちになりたいくらい好きなんです(笑)。
一同 (笑)
糸井 あと、「さらば」って飛んでいく時に、紙みたいにひらひらになっていなくなるじゃないですか。あの薄さも…好きなんですよ。なさけないくらいに重々しさが何にもなくって(笑)。
マジプシー
↑糸井さんお気に入りの場面。ひらひら飛んでいく姿は、たしかに軽そう!
─ 1万年も生きてるといいながら(笑)。そういえば、ハリを抜いて、消える時に言う「わたしはげんきです」ってセリフは、もしかして「魔女の宅急便」の…?(注5)
糸井 そうそう(笑)。「わたしはげんきです」を書いたときは、スタッフが止めようとしたんですよ。「糸井さんじゃなかったら止めるところでした」って(笑)。
一同 (笑)
─ マジプシー達の名前って、イオニアとかフリギアとか、なんだか不思議なひびきのものが多いですよね。
糸井 あれは酒井省吾の仕事なんです。音楽の専門用語らしいですよ。
─ マジプシー全員がそうなんですか?
糸井 ミクソリディアとかもね。
─ なんかクソって…(笑)。
糸井 酒井君のシャレかな、とか思ったらね(笑)。あのネーミングは、音楽知っている人はへえーって思うらしいですね。
─ 『MOTHER』シリーズでの、メロディーを集める冒険との関連性もあったりして、うれしいですよね。
糸井 そうですね。音楽のことは、やっぱり大事にしたいですね。マジプシーに対する僕の尊敬があるように、音楽もゲームをやってるときに、本当にいいなあって感じられるので。だから、音楽好きな人たちと、ゲーム好きな人たちをこれで仲良くさせられたらうれしいですよね。
注5:魔女の宅急便の…
宮崎駿監督の映画「魔女の宅急便」のキャッチコピー「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」は糸井重里さんの作品
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