販売が絶好調のDS初の『ゼルダ』
─ 売れ行きが絶好調ですね。しかも評判がすごくいいです。
青沼 いやあ、本当にうれしいです!
藤林 『ゼルダ』は、従来のように十字ボタンなどを使って遊ぶのが当然、と思っていた人も多かったと思うんですけど、今回のタッチペン操作がすんなり受け入れていただいたようでうれしいですね。
岩本 タッチペン1本で操作できるということで、これまで『ゼルダ』をやったことのない人も、ずっとファンだった人も同じスタートラインから遊べるようになったと思うんです。そういったことも好評をいただいてる大きな理由なのかもしれませんね。
萩島 (広報の萩島さんもうれしくて発言)実際、今度の『夢幻の砂時計』で実現した操作のスタイルは、DSにおけるアクションゲームの新たなスタンダードになったような気がしますね。タッチペンで手応えが感じられるようなゲームが新たに生まれたように思うんです。操作がカンタンだから、やりごたえがないんじゃないかって思われた人もいたと思うんですけど、十字ボタンを使ったゲーム以上に、敵にやられたり、ゲームオーバーしちゃうこともあるんですよね。でも、それがまったく不快じゃなくて、自分が失敗したから、ゲームオーバーしたんだと納得できるし、そのあたりの手応えがしっかりと感じられると思います。
青沼 手応えってやっぱり大事ですよね。『トワイライトプリンセス』のインタビューのときに「『ゼルダ』の作法」(※解説1)という話をしましたけど、タッチペンによる操作自体が新しい作法になったと思いますね。
─ 普通は大作のゲームを遊ぶとき、「さあ、やるぞ!」と気合いを入れる必要があったんですけど、今回の『ゼルダ』は軽い気持で始められますしね。
青沼 でも、「海王の神殿」に潜るときは、「さあ行くぞー!」って気合いが必要ですよ。
─ 確かに(笑)。
幻のパッケージは紙芝居風だった
─ 発売日にお店に行くと、青いパッケージがズラーッと並んでいて壮観でしたね。
岩本 パッケージに関しては、これまでのイメージを変えるような話もあったんです。
青沼 『ゼルダ』を初めて遊ぶ人にも、「これ、わたしにもできそう」って、手にとってもらえるようなパッケージにしたかったんです。遊ぶ前からプレイするのが難しそうな印象を与えて身構えさせちゃうのはよくないと思って。それで、今までになかった、ちょっとかわいらしいパッケージにしちゃおうってことで、実際に見本を作っていろんな層の人たちにアンケートをとってみたんですけど、僕が推したのは全然ダメ(笑)。子どもっぽすぎるって。中には「『ゼルダ』っぽくない」っていう意見もあって、そういう意見を『ゼルダ』をやったことのない人が言ったらしいんですね。「それって、どういうことよ?」って(笑)。遊んだことのない人たちにも、『ゼルダ』のイメージがある程度出来上がっちゃってるんでしょうね。それはもう変えようがない。そこで、『ゼルダ』らしさを残しつつ、新しい『ゼルダ』ということをアピールしようということで、あのようなパッケージになったんです。
─ 青沼さんが推したデザインはどんな感じだったんですか?
青沼 ゲームの中に紙芝居が出てくるじゃないですか。あの切り絵のようなイメージで作ってみたんです。これまでの『ゼルダ』のイメージが全然ないし、新しく生まれ変わった感じがするよね、ということで提案したんですけど、受けがよくありませんでしたね。かわいらしいデザインにすると、遊んだことのない人も含めて、『ゼルダ』への期待感を下げちゃうような結果になりかねないとわかりました。『ゼルダ』って、遊んだことのない人にその楽しさを伝えるのが、ホントに難しいゲームなんです。
─ 知り合いに勧めたいと思っても、「とにかくやってみてよ」というしかないですよね。
萩島 そんなときは、ソフトを貸してあげればいいんですけどね。
─ でも、自分のメモがたくさん残っているソフトは、やっぱり人に貸したくないですよね。
萩島 確かに(笑)。
PROFILE
プロデューサー
青沼英二 あおぬまえいじ
1963年3月16日生まれ。長野県出身。『マーヴェラス〜もうひとつの宝島〜』(96年SFC)の開発後、『時のオカリナ』(98年N64)から『ゼルダ』シリーズにかかわり始める。ディレクターを務めた『ムジュラの仮面』(00年N64)、『風のタクト』(02年GC)を経て、『4つの剣+』(04年GC)からは宮本さんに代わって『ゼルダ』シリーズの総合プロデューサーとなり、『ふしぎのぼうし』(04年GBA)、『トワイライトプリンセス』(06年Wii)を世に送り出す。血液型はA型
ディレクター
岩本大貴 いわもとだいき
1969年11月17日生まれ。大阪府出身の三重県育ち。『スーパーマリオ64』(96年N64)などの開発後、青沼さんと同じく『時のオカリナ』から『ゼルダ』シリーズにかかわり始める。当時の担当はシネマシーン・アシスタントディレクター。印象深いカメラワークを駆使して、さまざまなデモシーンを演出した。ほかの作品に『ルイージマンション』(01年GC)、『神々のトライフォース&4つの剣』(03年GBA)、『4つの剣+』など。血液型はA型
サブディレクター
藤林秀麿 ふじばやしひでまろ
1972年10月1日生まれ。京都府出身。カプコンで『マジカルTETRISチャレンジfeaturingミッキー』(99年PS)などのプランナー、ディレクターを務める。カプコン開発のゼルダシリーズ『ふしぎの木の実』(01年GBC)でディレクターに抜擢され、以後『神々のトライフォース&4つの剣』の「4つの剣」や、『ふしぎのぼうし』を生みだした。本誌インタビュー初登場は124号(04年)。当時はカプコンの社員だったが、その後退社して任天堂へ。血液型はAB型

シエラの解説1
『ゼルダ』の作法=新しいアイテムを手に入れたら、すぐにその場で使うような約束事は「ゼルダの方程式」と呼ばれていたんだけど、『トワイライト』から「ゼルダの作法」と呼ばれるようになったようよ
↑2007年2月号まで「任天堂の質問箱」の回答者だった萩島さんも同席。もちろんお元気です
たまに遊ぶのがいい釣りのゲーム
─ ところで今回の物語には、リンクの妹は出ないんですね。
藤林 出ません。きっと『風のタクト』の舞台になったプロロ島で留守番してるんでしょう。
─ 今作の舞台は、『風のタクト』の海から、どのくらい離れてるんですか?
藤林 すぐ隣です。
─ そんなに近いんですか!?
藤林 だって、『風のタクト』の舞台から旅立って冒険している最中ですからね。
青沼 だから、『ゼルダ』シリーズは無限に話が出来ちゃうよね。そのまた隣の海に行けばまた新しい冒険が待ってるわけだから(笑)。
藤林 海は広いですしね(笑)。
─ さて、その広い海では釣りができますよね。
青沼 (いじわるな表情になって)力、入りました?
─ 力が入るも入らないも、DSの液晶が壊れちゃうんじゃないかって(笑)。
青沼 任天堂の製品はそんなヤワには出来てませんって!(笑)
─ でも、そうとう力が入っちゃいますよね。
青沼 気持的には、どうしてもそうなっちゃいますよね。だから、釣りに関してはたまにやるようにしてください。ずっと釣りばっかりやってるとしんどいですからね(笑)。
─ 釣りは魚影に追いつかないとできないんですね?
岩本 もともとは、どこでも釣れるというコンセプトで作ってたんですけど、いつでもどこでもになっちゃうと、かえって釣りをしなくなるのかなと思ったんです。それよりは、魚影のようなターゲットがあったほうが…。
─ あの島に行くつもりだったけど、たまたま魚影が近いから釣りでもしようかって感じで。
青沼 海はそういう感覚のイベントが多いですよね。「どうしようかな? でも釣っちゃえ」みたいな。それに魚影は1つだけじゃないですしね。見たこともないような魚影が現れると、躍起になって追いかけまくっちゃう。
─ その魚影に追いついたと思っても、もたもたしてるとサカナはいなくなっちゃいますよね。
青沼  だから、最初は僕、文句を言ってたんです。すぐにいなくなっちゃうから魚影をもっと大きくしろって。でも、しばらく遊んでいるうちに、魚影を追っかける楽しさもあることに気が付いたんです。それに魚影の進む方向を先読みして、航路をとる楽しさもあったりするんです。ああいったことは、島にはない、海ならではの楽しさになってるんですね。

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