スタッフの愛情が隅々まで詰まったゲーム
─ ところでスタッフの数はどのくらいだったんですか?
青沼 最後は増えて40人くらいになりました。だけど中盤あたりまで20人くらいで作ってたんです。
岩本 最初は5人でしたけどね(笑)。
青沼 (ひと事のように)不遇の時代を味わってたんだねえ(笑)。「スタッフを増やしてくださいよ」なんて言われても、「もうちょっと待ってね」みたいに答えてたし。
岩本 『トワイライトプリンセス』が終わったら、スタッフは補充するからなんて言われながら、どんどん発売が延びちゃうし(笑)
一同 (笑)
─ ポストマンとかかわいいし、今作は女性のスタッフの方が多いんじゃないですか?
青沼 女性は結構多かったですね。チーフデザイナーも女の子でしたしね。
─ 紙芝居もすごくいい感じですね。
青沼 あれも女性の作品ですね。
─ それにしても、あの紙芝居、2回目に出たときは大笑いしました(笑)。
青沼 でしょう!(笑) 紙芝居の話はすごくシリアスなんだけど、紙芝居をやってたのはお前かって(笑)。あのあたりの演出についても、デモ班はホントに頑張ってくれました。もちろんそこだけでなく、今回はスタッフたちの愛情がゲームの隅々までたっぷり詰まってるように感じるんですよ。最後の最後まで、もっとよくしようってことでホントに頑張ってくれましたしね。だから僕はスタッフに対しては、「よく頑張った!」って言いたいですね。
─ ところで、青沼さんはずっと『ゼルダ』を作り続けてきてますけど、次のバトンを渡す人は考えてるんですか?
青沼 (岩本さんと藤林さんを指しながら)この2人じゃないですか!
─ 2人とも目をそらしてますよ(笑)。
青沼 
何で逃げんのよ〜!(笑) 今回は、この人たちのチームワークの大勝利だなあと思ってるんです。藤林とは『ふしぎの』シリーズ(※解説5)で一緒にやってましたけど、岩本とは今回初めてだったんです。正直な気持、彼がディレクターとしてどこまで『ゼルダ』をまとめることができるのか、不安なところもあったんですけど、結果的には岩本がうまくかじ取りをして、理想的な開発チームにまとめてくれたんです。彼にはすでに老人力が備わっていますから。ごめん。老人力じゃなくって鈍感力だった(笑)。少々、いろんなことにぶつかっても、まあどうにかなるかなという楽観的なところもあって、『ゼルダ』を作るにあたっては、そういう一本抜けたようなところも大事かなと思ってるんです。
萩島 つまり、キモが座ってるということですね(と、しっかりフォロー)。
一同 (笑)
↑オープニングにも登場する紙芝居。この切り絵風のイメージで、『砂時計』のパッケージにする案もあったんだそうです

シエラの解説5
『ふしぎの』シリーズ=01年にGBカラーソフトとして出た『ふしぎの木の実』と、04年にGBアドバンスソフトとして出た『ふしぎのぼうし』のことね。カプコンとのコラボソフトでもあったの
ファンも気持が次回の『ゼルダ』を生む
─ 気が早いですけど、今後の『ゼルダ』も気になりますね。
青沼 僕は今回の『砂時計』で、いい方向性が見えてきたと思っているんです。
─ 本当にそう思います。Wiiリモコンでも謎解きをやってみたいですし。
青沼 そう、DS版で実現できた手応えが、Wiiの『ゼルダ』をもっと変えてくれるようになる予感がしますよね。
─ グラフィックが豪華になるだけじゃないんだよと。
青沼 でも、みんなが求める『ゼルダ』の中には、そんなグラフィック面のことももちろん入ってるわけです。そういったことと、新しい遊びの部分をうまくバランスをとることが課題になるでしょうね。
─ トゥーンシェイドのリンクとリアルなリンクがいて、今後はまた違ったカタチのリンクが登場するようなこともあるかもしれないですね。
青沼 そういう方向ももちろんありますし、リアルなリンクでの遊びの方向性と、今回のリンクでの遊びは、大きく違うものだと認識しないといけないんだと思うんです。そこをごっちゃにして作り始めると、どっちつかずで終わってしまうようなことになりかねない。今回の『砂時計』がうまくまとまった理由は、割り切りがよかったからなんです。今度の『ゼルダ』はこういうふうに遊べるものにしようと、最初からそれに必要のない「やらない事」を決めて、そこからスタートできたことなんです。だから、グラフィックがゴージャスになっても、そういう「やらない事を決める」っていう割り切りが大事になると思いますね。
─ 青沼さんはこれからも『ゼルダ』を?
青沼 僕がこの2人に…というかスタッフたちに言ってるのは、次に作るゲームが必ずしも『ゼルダ』じゃなくってもいいからねって。『ゼルダ』を軸にして次の企画を考えてくれてもいいけど、『ゼルダ』にしないほうが面白いゲームになりそうだということになれば、それは全然OKだと。だって、この『砂時計』って、根本が『マーヴェラス』っぽいと思いません?
─ そうですね。じゃあ次回作は『マーヴェラス』?
青沼 そういうわけじゃないですけど(笑)。でも、今回『砂時計』を作ることで、いろんなことをいっぱい気づかせてもらいました。だから、次の『ゼルダ』を考えていく中で、ここにいっぱい詰まっているスパイスをいろんなカタチで使えそうで、次作に向けて元気が出てきました。これからも『ゼルダ』をやれるなって。あ、僕が作るとは決まったわけじゃないんですけどね(笑)。その意味で、ユーザーさんたちの、「次の『ゼルダ』も遊びたい」という声がとても大事なんです。だからみなさん、よろしくお願いします! みなさんの気持が、次の『ゼルダ』を生むんです!



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