ブーメランが決定づけたタッチペンでの操作
─ それにしてもタッチペンだけでの操作は、思い切りましたね。
岩本 タッチペン操作の実験を始めたころは、まだボタン操作も残していたんですけど、片方の手でタッチペンを握りながら、もう一方の手でボタンを押すのが難しかったんですね。それならいっそのこと、ボタン操作は禁止にしようと。
青沼 「ボタン禁止令」を出したんです(笑)。ボタンでも、タッチペンでも、どちらでも快適に操作できるようにするためには、調整が倍かかりますし。
岩本 最終的にはショートカット機能(※解説3)をボタンに割り当てていますが、それは使わなくてもプレイできるようになっています。「ボタン操作も残したら?」っていう意見が何度も出てきたんですが、一度タッチペンでいくと決めてからは頑として聞きませんでした。タッチペンだからこそおもしろいと思ってもらえなければ、意味がないですからね。
─ タッチペン操作だけでおもしろいものが作れる、という確信はあったんですか?
岩本 確信があったわけではないですけど、不安はなかったですよ。もちろん苦労したことはいっぱいありましたけど、ダメかも…と思ったことは一度もありませんでした。
青沼 ブーメランをタッチペンで操作できたことによって、ほかのアクションも大丈夫だと思えました。あの快適な操作にするまでには、すごく調整しましたけどね。
─ 今回のブーメラン、すごいですね。最初に公開された画面写真を見たときは「ふうん、軌道をなぞるだけなんだ…」と思っていたら…。
青沼 なめていたんでしょ(笑)。
─ ええ(笑)。
萩島 (同席していた広報の萩島さんも黙っていられずに)同じブーメランというアイテムなのに、軌道をタッチペンで書くという操作にしたことで、謎解きのしかたがこれまでとガラッと変わってるんです。
─ そうそう。ブーメランを投げることで、これまで見えなかったところまで見えるようになりますし、何より操作感がすごく気持いいんですよね。
岩本 今回のブーメランはインパクトがあるので、意図的に序盤で入手できるようにしたんです。初心者の人もベテランの人も、タッチペン操作という意味では同じスタートラインに立って遊び始めるわけですから、ぜひプレイしてみてほしいですね。
藤林 『ゼルダ』はボタンで遊びたいと思っている人に、タッチペン操作の感想を聞いてみたいですね。すごくおもしろいと思ってもらえるようにしましたからね。


シエラの解説3
『ショートカット機能』=LまたはRボタンを押すと、ブーメランなどのアイテムがタッチせずに使えるの。強敵に出くわしたりしたときや、急いでいるときはとても便利な機能よ
↑かなり早い段階で手に入るブーメラン。すばらしい手触り感をぜひ体験してみて
タッチペンでメモすれば脳年齢も若返る?
─ マップにメモを書き込めるようになると聞いたときも、むしろ面倒そうだと思っていたんですね。ところがこれも実際に遊んでみると…。
青沼 ふふふ…、やっぱり、なめていたんでしょ(笑)。
─ ええ(笑)。
藤林 みんな普通にやっていると思うんですが、僕もRPGとかで遊ぶとき、ちょっとしたことを雑誌や攻略本の余白に書き込んだりするんです。そんなふうに、ちょっとしたメモをDSで書き残せるようにすればいいんじゃないかなと考えたのがきっかけでした。
─ 以前に公開された画面写真では、全消しアイコンがありましたが、なくなったんですね。
岩本 それまでに書き残してきたものを、わざわざ白紙に戻すようなことはしないだろうという判断で、そのアイコンは取りました。
青沼 消さないから、それが思い出として残るんですよ。序盤で書き込んだメモを後から見て、正解とは違うことが書いてあったりすると、自分の勘違いに苦笑いしちゃうこともあるでしょうね。
─ 序盤に書いたメモって、自分の若さが出てますよね(笑)。
岩本 もうちょっと、わかりやすく書いておけばよかったとか(笑)。
藤林 きれいな字で書いておけばよかったとか(笑)。
青沼 字がでかすぎて、後から書くスペースがないとか(笑)。
─ ダンジョンだけでなく、いろんな場所でメモをとれるようになっているんですね。
青沼 これまでの『ゼルダ』では、何かを記憶しておかないと解けないネタっていうのは、わりと御法度だったんですよ。難解な暗号とか、そういうたぐいのものですね。ところが今回はメモ機能があるので、あえてそういうネタを増やし、メモをとることを習慣化させたいと思ったんです。忘れたころに、そのメモが役立つ場面に出くわして、「そうそう、これメモしておいたっけ」と言って地図を広げるみたいにね。
─ これまでのシリーズだと、覚えていなかったら、またヒントの場所まで確認しに戻っていたところですね。
岩本 ブーメラン同様、その部分でも遊びが変わっている感じがしますよ。メモのおかげで、その場その場で解決するコンパクトなネタばかりでなく、世界全体を使ったオールレンジなネタを作れるようになりましたから。
青沼 メモを書くことで、より鮮明に記憶に残せますから、時間がたっても覚えていられるんですよ。
萩島 書くという行為が脳を刺激するんですよね。
─ 脳年齢が若返っちゃう!?(笑)
青沼 ほら、ライバルの転校生に勝てそうじゃないですか(笑)。
─ 地図を広げると、上画面でリンクも一緒に広げているのがかわいいですね。
青沼 タッチペンで書き込むと、リンクも地図に書き込んでいるって知ってました?
─ ええっ、そうなんですか? (その場で実際にやってみて)あっ、ホントだ! しかも消しゴムを使うと、一緒に消してるし(笑)。
青沼 僕も最初は知らなかったんです。
岩本 息子さんに教えてもらったんですよね。
青沼 そう。Wi-Fiのテストをするのに自宅に持ち帰ったとき、5歳の息子がすごく興味をもっちゃって。本当は発売前に遊ばせちゃダメなんですけど、小さな子どもがどんな反応を示すのか見たかったので、やらせてみたんですよ。そしたらタッチペンを使って書き込む場面でちゃんと書きながら、「リンクも書いてるもんね」って。「ウソやん」と思ってのぞきこんだら、ホントだった(笑)。
─ プロデューサーも知らない仕様だったんですね(笑)。小さな子どもといえば、漢字をタッチするとふりがなが表示されるのもいいですよね。
青沼 うちの息子はそれで漢字を読めるようになったんですよ。「斬る」とか、難しい字も。
─ 教育ソフトだ(笑)。
青沼 ますますライバルに勝てるかも(笑)。
↑今年の6月号の記事まで残っていた「ぜんけし」アイコン(左上から3番目)

↑マップにリンクのアイコンが表示されるのも、かなり便利な機能です

↑読めない漢字が出てきても、ちょこんとタッチすれば、ご覧のとおりふりがなが
広い大海原にはネタがいっぱい
─ 船の航路をタッチペンで海図に書き込むのもおもしろいですが、それより海のネタ、いろいろあって飽きさせないですねえ。
岩本 それがモットーでしたから。
青沼 『タクト』でやりたかったことがいっぱい入っているんです。
─ 上画面に海図が表示されていますが、いろいろな情報を得られるレーダーのような役目もあって…。
藤林 マップそのものに「生きている感」があるでしょう。
─ そう、生きている感。単なる海図ではないんですね。
青沼 島から島へ移動するときに、海をただ通り過ぎる場所にはしたくなかった。海そのものがもうひとつのフィールドとなるように、いろいろなものを仕込んだ結果、うまく反映できたと思っています。
岩本 そこは、『タクト』を反面教師にしたところもありまして…(笑)。
一同 (笑)
青沼 もちろんいいんだよ、それで。過去の反省から、いいものが生まれるわけだから(笑)。
─ 具体的に言うと、どんな点を?
岩本 だだっ広くて何も起こらないとか、敵との戦闘が移動込みになっていてやりづらいとか。あと、サルベージですよね…。
─ 今回のサルベージは慎重に操作する必要があって、緊張感を味わえるんですよね。
青沼 そこらへんは僕も『タクト』を作った後で、悔しい思いをした部分なんですね。そういうことを彼らはわかっていてくれて、いろんなネタを仕込んでくれたんです。それがうれしくて。
藤林 広さの調節も、最初のころはずいぶんしました。海全体をどれくらいのスケールにするか、島々の大きさはどうするか、島から島までの距離や移動時間は、といったふうに。
─ 
海を航海していると、携帯ゲーム機で遊んでいるとは思えないような、スケールの大きさを感じるんですよね。
青沼 でしょう!

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