
─ 『Newマリオ』の開発期間はどのくらいだったんですか?
手塚 本腰を入れて制作した期間は、たぶん1年ないくらいです。でも、企画段階から含めると、ずっと前からやってますから、長いのは長いんですけど。
─ 初代『スーパーマリオ』は開発期間が8か月だったんですね。
手塚 そのくらいだったですね。
─ しかも『ゼルダ』と一緒に開発してたそうですね。
手塚 そうなんです。あのときは『ゼルダ』のほうがペースが早かったんですけど、途中で逆転して。というのも、ディスクシステムを出すことが決まってましたので、『ゼルダ』はそっちで出すほうがいいだろうと。
─ それにしても、1年かかっていないというのは、思ったより短いですね。
手塚 新入社員は6月くらいに配属されるんですけど、それで開発メンバーが何人か増えて、翌年(2006年)の3月くらいには、ほぼ開発は終わってましたので、およそ10か月くらいが本腰を入れた期間ということになるでしょうね。
─ 新入社員の人も、開発にかかわったんですか?
手塚 ええ。たくさん入ってます。入社2年目の人たちもいますし。スタッフの半分くらいがそんな若手ですね。
─ それはすごいですね。入社してすぐに『Newマリオ』のような看板ソフトにかかわるのもすごいですし、ディレクターの足助さんもとても若いですし。
手塚 その代わり、年寄りのスタッフも結構かかわってましたからね(笑)。初代『スーパーマリオ』のプログラマーらも参加してましたし、サウンドの近藤(浩治さん)もかかわりましたしね。だから、古いスタッフと、若いスタッフが一緒になって制作した感じなんです。
─ おじさんチームと若手チームの合作だったわけですね(笑)。でも、若い人たちからすると、何を言っても、おじさんたちに否定されるんじゃないかと萎縮してしまうようなことはなかったんですか?
手塚 そんなことはないと思いますよ、たぶん(笑)。若い人たちはみんな頑張り屋さんでしたしね。
─ その意味では、チーム編成自体も「New」だったわけですね。
手塚 まさにそうですね。
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↑1985年発売の初代『スーパーマリオ』は全世界で4000万本以上を販売した
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─ タイトルに『New』をつけたのは、手塚さんの意向だったそうですね。
手塚 やっぱり『マリオ』のアクションゲームの新しいスタンダードになってほしいということで、王道のタイトルをつけようと。しかも「新しい」ということも強調したかったわけですね。『マリオ』のゲームだけれど、新しい『マリオ』なんです。
─ 普通は『4』のような数字をつけるのが一般的ですよね。
手塚 数字をふってしまうと、ずっとシリーズをやってる人でないと振り向いてくれないと思うんです。そうじゃなくって、新しくなった『マリオ』からスタートしましょうということなんです。
─ ファミコンの初代『スーパーマリオ』が新しくなったという意味ではないんですね。
手塚 ええ。もう過去のものは忘れてもらってもいいくらいです(笑)。そのくらい、自分の中では切り分けようと思っていたんです。だから、これがシリーズ何作目ということは意識しなかったんですね。でもね、確かに初代『スーパーマリオ』は、今遊んでもおもしろいと思うんですけど、絵が古いというだけで、遊んでくれない人たちがたくさんいるんですよ。内容は楽しいんだけど、グラフィックを見て遊んでもらえないというのは、もったいないし、今から遊べる「最初の『マリオ』」を作ってみようということだったんです。
─ 確かにマリオのグラフィックだけ見ても全然違いますよね。初代はおっさんのような感じで(笑)。
手塚 そうですね(笑)。
─ でも、今回はいろんな動きも入っていて、とてもかわいいですよね。
手塚 実はもっともっとたくさん多彩な動きができるようになっていたんです。でも、途中で整理しました。あんまりたくさんの動きを入れても、お客さんにわかりにくかったり、操作しづらかったりするので。そこはシンプルに変えました。
─ タッチペンなど、DSの機能を生かすことに関しては?
手塚 そこはハナから考えませんでした。いわゆる正統派『マリオ』なので、ちょっとした要素としては入れましたけど、それをメインに企画を立てるようなことはしないでおこうというのは最初に決めたことだったんです。
─ 2画面の使い方については悩んだりしなかったのですか?
手塚 少し悩みました。ホントは2画面を全部使ったゲームにしようというプランもあったんですけど、最終的には1画面のほうが誰でも遊びやすいだろうと。縦方向のスクロールなんかが入ると、初心者の人にとっては、何かしらのハードルになってしまうかもしれないと考えました。
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↑初代マリオはおっさんのようだけど、とっても温かみのあるデザインだ
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─ ネガティブな印象を言うと、プレイヤーによっては「難しい」と感じてる人もいますよね。
手塚 我々としては、初めての人でも遊べるように、難易度は下げたつもりで、歴代の『マリオ』シリーズの中では、難易度は低いものとして評価されてるとは思うんです。でも、それでも最後まで行けない人はたくさんいて…。もちろん誰でもクリアできるように調整できたら一番なんですけど、そうすると「歯ごたえがない」という声も出てくるところもあって。だから、水中ではあえて少し泳ぎにくくしたり、ジャンプ量を抑えたりしました。一方で、敵もあまりイヤな動きは外して、マリオが気持よく走ったりジャンプしながら進めるということを重視したんです。
─ いろんなユーザーがいるだけに、バランスをとるのが難しいですよね。
手塚 Bボタンのダッシュにしても、慣れた人はいいんですけど、結構そういった操作が難しいと感じる人もいるわけですね。それで今回は、Bボタンダッシュができなくても、頑張ったらゴールできるような地形にしようということで作ってたんです。そんなにテクニックを使わずに、後半まで遊べるようには作ってるんです。それに、最後まで行けたから『Newマリオ』が楽しかったというんじゃなくって、最初のワールドや2ワールドだけを遊んでいても楽しいという声もたくさん聞いてます。
─ 失礼なことを言いますけど、手塚さんはアクションが苦手でしたよね(笑)。
手塚 苦手ですね(笑)。
─ 手塚さんは『Newマリオ』をクリアされたんですか?
手塚 もちろんです(笑)。
─ 発売から1年たって、なかなか先に進めなくて悩んでる人たちもいると思うんですけど、そんな人たちにクリアするためのコツを教えていただけますか?
手塚 コツ…ですか? セーブをするポイントが、自分の判断でできるようになっていますよね。そのコツがやってるうちにわかってきますので、やたらにセーブしないで、それをうまく生かすことが大事でしょうね。
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↑スターコインを5枚使って、マップ上の看板を解除するといつでもセーブが可能に。スターコインのご利用は計画的に
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