─ 田邊さんとは、3月号の『エキサイトトラック』のインタビュー以来なんですけど、そのとき『スーパーペーパーマリオ』の話は一切出ませんでしたよね?
田邊 だって、『エキサイトトラック』の話やったから。
一同 (笑)
─ 実際、田邊さんは何本のソフトにかかわってるんですか?
田邊 ローカライズのタイトルも含めたら、30本近くかかわってますね。でも、自分がホントの意味でかかわっているのは、その3分の1くらいかな?
─ 10本くらい?
田邊 そうですね。この数年来は、その時期、その時期で3〜4本にパワーをかけながら作ってる感じなんです。
─ お疲れ様です。まあ、いずれゆっくり休める時もきっときますから。
田邊 そうなのかなあ?
─ 20年くらいたてばの話ですけど(笑)。
田邊 そんなん、とっくに定年になってますやんか!(笑)

通勤電車の中で今作のヒントが!
─ さて、4月19日発売の『スーパーペーパーマリオ』は、シリーズ3作目になりますけど、今回初めてジャンルから「RPG」の文字が消えちゃいましたね。
田邊 「RPG」とは呼ばなくなった最大のポイントは次元ワザですね。(川出さんに向かって)あれって、どっからアイデアが出たんですか?
─ あのう、インタビューをしているのは、ワタクシなんですけど…。
一同 (笑)
─ 次元ワザに関しては、後ほどじっくりお聞きしようと思ってます。
田邊 でも、あれが最も大きなポイントだったんです。川出さんからあのプレゼンを受けた瞬間に「これはイケるわ!」って思ったんです。
─ 2Dのステージが、ボタンひとつでパッと3Dに切り替わることって、ある種の発明ですよね。
川出 (照れくさそうに)…そうですね。
─ あのアイデアを思いつくのに、何かモチーフにしたものはあるんですか?
川出 前作の『ペーパーマリオRPG』(04年)のときに、クッパが巨大化するイベントがありましたよね。その評判が結構よかったので、「あれで何かできないかな?」とずっと考えてたんです。それであるとき、3Dのステージの中を巨大なクッパがズカズカ走ったらおもろいとちゃうかなって。実はそれを思いついたのが電車の中だったんです。
─ 電車って?
川出 電車のつり革につかまっていて、車内を見たとき、頭の中で車内が『ペーパーマリオ』のステージに見えて、そこをクッパが走っていく映像が浮かんだんですよ。通勤で使っている、東福寺駅から京都駅までの間だったんですけどね(笑)。
─ なるほど〜。電車の中が今作の3D画面のように見えたわけですね。
田邊 そのような構成にするんだったら、アドベンチャー色の強いものでも面白いんじゃないかと。それでRPG的なものはとりあえず置いといて開発がスタートしたわけですね。
PROFILE
インテリジェントシステムズチーフディレクター
川出亮太 かわでりょうた
1970年、愛知県生まれ。94年、インテリジェントシステムズに入社。デザイナーとして、海外版の『ワリオの森』(94年)などのタイトルにかかわり、96年8月から『ペーパーマリオ(マリオストーリー)』のディレクターを務める。血液型はA型
任天堂プロデューサー
田邊賢輔 たなべけんすけ
1963年、大阪府生まれ。87年の『夢工場ドキドキパニック』が初ディレクション作品。以降『神々のトライフォース』(91年)など、数えきれないほどのタイトルにかかわり、最近は『もぎたてチンクル』などのプロデューサーを務める。血液型はA型
任天堂コーディネーター
上田賢之朗 うえだけんしろう
1975年、熊本県生まれ。98年、任天堂に入社し、『どうぶつの森』(2001年)でスクリプト(テキスト)を書いた後、社外の開発会社とともに『ちびロボ!』(05年)などの開発にかかわる。血液型はB型
電車
↑通勤通学で、毎日のように利用する電車。それをゲームのヒントにするなんて、クリエイターってホントにスゴイ!
2段階のステップで「スーパー」なタイトルに
─ 普通はシリーズだと『1』とか『2』ってなりますけど、このシリーズは毎回タイトルが変わってますよね。
田邊 実はキューブ版の『ペーパーマリオRPG』のときに、タイトルを『スーパーペーパーマリオ』にしたいって、社内で提案したんですけど却下されたんです。NOA(米国任天堂)から、「スーパー」と「ペーパー」という2つの修飾詞がつくというのがよくわからないって。さらに宮本(茂さん=任天堂専務)からも「イマイチやねえ」と言われてしまって。当時、GBアドバンスの『マリオ&ルイージRPG』(03年)が好評だったので、岩田(聡さん=任天堂社長)から、「その系統の名前にしたほうがいい」という提案があって、『ペーパーマリオRPG』というタイトルに落ち着いたんです。それでおかげさまでヒットすることができましたし、『ペーパーマリオ』というタイトルは定着したはずやということで、今回は「スーパー」をつけたわけです。実際、『ペーパーマリオ』よりもスーパーになってますしね(笑)。
─ ホントにそうですね。
田邊 それで、Wii版はこのタイトルで行きますって言ったら、宮本が「ええっ? 前作のとき、僕はそうしたらって言わへんかったっけ?」って。 一同 (爆笑)
田邊 「違いますよ。宮本さんは『アカン』って言うたんですよ」って(笑)。だから4年越しで実現したタイトルでもあるんです。
上田 もっとさかのぼると、1作目の『ペーパーマリオ』というタイトルも日本ではダメでしたからね。
─ アメリカでは『ペーパーマリオ』で発売されたのに、日本では『マリオストーリー』(注1)でしたよね。
上田 つまり、2段階のステップを踏んで、2作目に「ペーパー」が認められて、今回はようやく「スーパー」がつけられたというわけです(笑)。
注1:『マリオストーリー』
2000年、N64ソフトとして発売。開発にとても時間がかかり、長らく『スーパーマリオRGP2』という仮称で呼ばれていたタイトル

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