
キューブソフトの『ちびロボ!』に、とっても印象的なシーンがある。小型ロボットを充電するために、コンセントを差し込もうとすると、いきなりタライが落ちてくるのだ。ゲームの流れとはまったく関係ない、こんなバカげた演出を仕掛けたのが田邊さんだ。
「僕らのチームでは、バカゲーをどんどん作っていきたいんですわ」という田邊さん。『ちびロボ!』以降も、『もぎたてチンクル』や『エキサイトトラック』などのおバカ風味のソフトを次々と生み出してきた。
そんな「バカゲー命」の彼が、昨年1年間に海外出張をした回数は、なんと9回。「給料をもらいながら、何度も海外に行けるなんていいなー!」とも思っちゃうけど、そこはやっぱり仕事。
現地には最低1週間以上滞在することがほとんどで、昨年は100日近くも米国各地やカナダに滞在したんだとか。もちろん現地では観光する余裕もなく、毎日がホテルと開発会社の往復。
なので、頻繁に通うアメリカ南部の町では、なじみのホテルに着くと、「ただいま!」という日本語がつい口に出てくるんだそうだ。ホテルの従業員たちとももちろん顔なじみ(笑)。
そんな彼に好きな食べ物を問うと「日本のフツーの朝ごはん。ごはんとみそ汁と納豆があればいい。それに魚の干物を炙ったものが出てくると、もう最高!」と答えが返ってきた。
その気持よくわかる。昨年サオヘンがE3の取材に行ったとき、アメリカでいちばんおいしかったものは、ボリューム満点のローストビーフでもなく、イタリアンでもなく、吉野家の牛丼だったもん。今年に入って、国内でも吉野家の牛丼が毎日食べられるようになったけど、一方で田邊さんが「フツーの朝ごはん」を口にする機会はこれからどんどん減りそうな気配なのだ。
インタビューの中にも出てきたけど、田邊さんが現在かかわっているタイトルは約30本。それらのタイトルは京都や東京だけでなく、イギリスやアメリカ、カナダなどの開発会社と共同で作られているのだ。しかもその中には、『メトロイドプライム3』という超大作ソフトも含まれている。
「海外から帰ってきても、東京の開発会社にそのまま向かうことが多いですし、京都に戻ってきても、出張中にたまった仕事が山積みになってるんですわ」と田邊さん。
もしかしたら、今ごろ彼は太平洋上空を飛んでいるのかもしれない。行き着く先では、「フツーの朝ごはん」は待っていないかもしれないけれど、世界中のゲームファンは、ソフトの完成を待ってますよ。だから頑張ってくださいね、田邊さん! バカゲーのあしたのために!!
(サオヘン)
―fin―
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