関西の伝統を受け継いだネーミング
─ 失礼なことを言いますと、デアールとかア・ゲールなど、キャラのネーミングがすごくベタですよね。
上田 見たまんまでしょ?(笑)
─ 正直、がっかりするくらいベタです(笑)。
田邊 (またまたマジメな表情で)それはイズさんのセンスです。
一同 (爆笑)
─ でも、もともと『スーパーマリオブラザーズ』のときから、ゲッソーとかワンワンのようにベタなネーミングが多かったですよね。
上田 メットはまんまメットですしね(笑)。
川出 うちの奥さんから「クッパってどうしてクッパなの?」って聞かれて、「焼き肉屋のクッパだよ」って教えたら、「エライ適当だねー」って(笑)。
─ (笑)。でも、わかりやすさとか覚えやすいことを大事にしてるからこそ、そんなネーミングにするんでしょう?
川出 やっぱりわかりやすさって大事ですよね。
田邊 でも、ベタってある意味、関西風なんかもしれないですね。商品名にしても、ベタなもん、いっぱいありますもん。JRのカードは東京ではスイカでしょ?
上田 関西ではイコカですもんね(笑)。
田邊 「電車に乗ってどこイコカー?」って(笑)。『スーパーマリオ』を作った宮本も手塚(卓志さん=情報開発本部制作部長)も関西出身やないですか。だから、「ベタのりは関西」ということでよろしいんじゃないでしょうか。…すみません、ご希望にそえるような答えができなくて(笑)。
─ いえいえ、とってもわかりやすい回答でした(笑)。それにしても、フェアリン(妖精)の名前がとくにベタですよね。トるナゲールとかキえマースとか。
田邊 でも、僕はそんなネーミングが大好き(笑)。
川出 やっぱりそんな名前にしないと、見た目と効果がわかりにくいんですよね。
上田 でも、あれを正確にキーボードで入力しようとすると結構大変なんですよ。ひらがなとカタカナが交じってるので。
川出 それは僕も名前をつけた後で後悔しました。ただ、ノッテコーだと味気ないので、一文字ひらがなにしたんですけど、後で資料を書くときに、「誰や、こんなネーミングにしたのは!」って。自分ですけど(笑)。
一同 (笑)
─ ベタなフェアリンの中でも、アンナだけはなぜか普通の名前ですよね。
川出 それはやってからのお楽しみということで(笑)。
トるナゲール
↑とって投げるから、トるナゲール。そのまんまの、わかりやすいネーミングです
アンナ
↑マリオが最初に出会うフェアリンのアンナ
ルイージに対する愛情が感じられる今作
─ 今作には、ルイージに対する愛情がとても感じられますよね。
上田 ルイージはもともと『マリオストーリー』や『ペーパーマリオRPG』のときにはぞんざいに扱われていたんですよ。
─ ルイージのテキストは多かったですけどね(笑)。
上田 テキストだけは、あらゆるキャラの中でいちばん多かったくらい(笑)。
川出 それだけに僕的には、今回はルイージを活躍させたかったんです。
─ それはすごく感じます。ルイージのために作ったような印象もあって。
川出 それはちょっとありますね。
上田 わたしが任天堂に入社していちばん最初の仕事が『ルイージマンション』(注3)のプログラムだったんです。そのころから、「ルイージをどうにか主役に!」という思いが強くて、その気持は川出さんとも一致していたんですね。ルイージって、究極の脇役じゃないですか。情報開発本部で作るメインストリームのマリオでは絶対にできないことが、ルイージではできちゃうんです。このソフトの基本的はことは川出さんが考えられてることなんですけど、わたしとしては「もっとやってほしい!」という勢いで、なるべく制限をかけずに、ルイージに関しては好き勝手にやっていただきました。だから今回はかなり大活躍してますね。
─ ルイージファンは大喜びするでしょうね。ところで、今回のルイージを見て、田邊さんのチンクルに対する気持と同じようなものを感じたんですが。
田邊 ルイージに関しては、僕は紺野(秀樹さん=情報開発本部プロデューサー)が何かをやってくれるんやないかと、ずっと思うてるんです。彼は『ルイージマンション』を作りましたし、だからわたしは手出しをせんとこかなと。
─ なるほど(笑)。任天堂の開発者の中にも、それぞれの担当があったりするわけですね。ところで今のコメントは、誌面を通じての紺野さんへのメッセージだったりするわけですか?
田邊 ちょっとね(笑)。
─ でも、実際には『ルイージマンション2』の開発は始まってたりして?
一同 ……。
田邊 そんなん、どっちにしても言えるわけないですやん!(笑)
前作のルイージ
↑前作『ペーパーマリオRPG』のルイージ。弟さんはこんなことを言ってるけど、本当に冒険していたかどうか不明
注3:『ルイージマンション』
弟さん初主演作品であるとともに、ゲームキューブと同時発売という、ルイージ史に残る金字塔のようなソフト。Wiiリモコンとの相性がよさげなだけに『2』への期待も
紺野秀樹さん
↑任天堂ミュージアム(07年3月〜4月、うめだ阪急で開催)では熱心に昔のおもちゃを見ていた紺野さん。『マリオカートDS』や『nintendogs』も彼の作品
「愛」がテーマの『ペーパーマリオ』
─ 今回の作品のテーマは何なんでしょうか?
川出 ゲーム的には、2Dと3Dの切り替えですね。でも、ストーリー的には「愛」がテーマなんです。
─ やっぱりそうなんですね。
上田 実は、デバックチームの子たちが結構泣いてたんです。最後までクリアした人たちは男女問わず。ワタクシが手がけたソフトで「泣きました」という感想をもらったのは初めてだったんです。
─ まさか『ペーパーマリオ』シリーズで、そんな感想が聞けるなんて思いもしないですよね。一般的には、冒険アドベンチャーとして楽しいゲームの印象しかないと思うんです。
上田 でも、今回は本当に泣けますよ。自分も泣きましたから。
田邊 けど、『もぎたてチンクル』でも泣けますよ。
─ それは別の意味で泣けるんじゃないですか?(笑)
一同 (笑)
田邊 昔のアニメって、ペーソス(哀愁)が必ずあったじゃないですか。ホロッとくる部分。ゲームにもあれがなかったらアカンと思うんです。
川出 でも、今回はエンディングがいい感じでまとめられたので、よかったなあと思っています。
─ それにしても、どうして今作のテーマが「愛」なんですか?
川出 すごいうちわの話なんですけど、開発の女の子に「次の『ペーパーマリオ』はどんなんがええやろうね」って聞いたら、「アタシはお金か愛がいい!」って言ったんです(笑)。
一同 (爆笑)
田邊 (目を輝かせて何度もうなずく)
─ 「お金」のほうは『もぎたてチンクル』で実現してますからね(笑)。
川出 だったら、次は「愛」で行こうかと(笑)。
─ それにしても、ポスターや記事を読んでも、「愛」がテーマなんて誰にもわからないですよね。
上田 ゲームのあらすじを読んでも、まさか「愛」がテーマなんて思わないでしょうしね。
川出 だから、発売前の評判なんかを聞いても、「みんなだまされてるなー」って思ったりしてるんです(笑)。でも、実際にプレイするとイメージはガラッと変わってしまうでしょうね。各ステージには「愛のカタチ」を表現したつもりですし。

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