
─ このヌンチャクという名前はどうやって付いたんですか? 最初は、このまま採用されるとは思っていなかったんですけど(笑)。
宮本 まだ変えられますけどね(笑)。変えたほうがよかったら言ってください(笑)。
─ いやいや(笑)。とってもわかりやすい名前だと思います。
宮本 海外でヌンチャクという名称が非常に好評で、もうヌンチャクのままでいこうかってなったんですよ。
─ どういう経緯でヌンチャクと付けられたんですか?
宮本 最初に試作品をつくったときに、開発の中でヌンチャクみたいだからヌンチャクって呼んでいたんです。アメリカとやり取りするときも、向こうからヌンチャクと言ってくる。だから、最初は開発コードやったんですけど、ヌンチャクの商標権はどうなっているかとか、いろいろ調べていくと、一般名称として自由に使えることがわかって、それならそのまんまヌンチャクでいいかって(笑)。
─ ニンテンドーヌンチャクとか、Wiiヌンチャクというような名前ではないんですね。
宮本 Wiiリモコンにセットしたときは、ヌンチャクスタイルって呼んでるんです。
─ Wiiリモコンの先に付くモノって、いろんなものが考えられるわけですが、それらもすべてヌンチャクスタイルということになるんですか?
宮本 いやいや、アナログスティックがリモコンに付いた状態のモノをヌンチャクスタイルと呼んでいます。だから、(銃を構える格好をして)ザッパーが付いたモノはザッパースタイルになりますし。
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↑右のガンタイプのものがザッパースタイル
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─ なるほど。しかし、Wiiリモコンの拡張性は楽しみですよね。いろんなモノがつながりそうで。
宮本 そうですね。ワイヤレスというのをずっと考えてきて、やっぱりワイヤレスのユニットって、電池も消耗しますし、いちばん高価なんです。周辺機器をたくさん作るのもいいんですけど、周辺機器対応のゲームになるほど、売れ行きは半分半分になっていく。そんな中で、コントローラの核になる部分がリモコン1個で、後は拡張できるっていうアイデアをひらめいたときは(指をパチッと鳴らして)「やった!」と思いましたね。いろんなものを拡張させるために、このシンプルなメインユニットがあると。だから、Wiiリモコンのいちばん最初の開発コードは、コアユニットと呼んでいて、周辺機器を周辺ユニットと呼んでいたんです。
─ なるほど。
宮本 本当に偶然ですよね。できるだけシンプルにしていこうとした中で、ポインターのリモコンのようなシンプルな答えが出せた結果、いろんなモノが後からつなげられるわけです。そして、デザインとしてもまとめられるじゃないですか。だって、これまでの両手で持つコントローラに何かを付けるとしたら、デザイン的にも何かの発射台のようになってしまうわけですから(笑)。
─ 発射台(笑)。それって、N64のコントローラのことですか?(笑)

─ Wiiリモコンにスピーカーが付いたのもオドロキです。そこにはどんな発想があったのですか?
宮本 今まで音声認識ゲームなんかもつくってきたわけですから、マイクを付けるということや、コントローラを持った人それぞれに音が配れて遊べるスピーカーを付けるというのは、長い間、ずっと議論をし続けていたことだったんです。でも、そうなるとコントローラがどんどん豪華になっていくんですよ。せっかくシンプルにしようって言ってたのに(笑)。でも、コントローラにこんな機能を付けたいといういろんな提案がある中で、ワイヤレスの棒状のリモコンを持って遊ぶわけですから、自分が行ったアクションに対するフィードバック、リアクションがすごく大事になるんです。これまでのコントローラでは、振動を使ってやってたわけですけど、振動だけでもまだ十分じゃないなって思っていたときに、「じゃあスピーカーは残そうか」ってなったんですね。1つのWiiリモコンを4人で回して遊ぶものもつくったりしていて…(しまったという顔をして)これ言っちゃってよかったのかな?
─ 言っちゃいましょう!(笑)
宮本 (笑)。Wiiリモコンが「サオさんの番です」とか言うわけですよ。これが結構おもろかったりして。
─ 爆弾を回しながら順番に遊ぶゲームみたいな感じですね。
宮本 ほかにも、4人で遊んでいるときに、こっそり「あなただけに○○の情報を教えてあげる」とか言うわけです。そんなんをやるときにも、簡単なスピーカーだけでも付いてるとおもしろい。こういう機能ってゲーム寄りに考えていないと、普通はマイクを付けようってなるわけで(笑)。だから、穴が開いたリモコンの写真を見せても、みんなマイクやと思うから、最初から隠さずに出そうかとか言ってたんです。まぁ実際は、今年のE3まで抑えてきたんですけどね(笑)。
─ 昨年、Wiiのリモコンを発表したときは、スピーカーの穴は付いてなかったですよね。
宮本 実は、コスト的にキツイということもあって、マイクもスピーカーも付かないリモコンのときがあったんです。でも、外部のクリエイターさんからも「スピーカーを付けないんですか?」って話があったんですよ。それで、心残りになるのもイヤだから入れておこうと。でも、マイクもないよりはあったほうがいいんですよ。けど、どんどんコストが上がっていきますし、テレビの前で遊ぶわけですから、マイクがどこに付くのがいちばんいいのか、いろいろですよね。テレビのそばにマイクがあった方がいい場合もあるでしょうし、リモコンに付いてるほうがいい場合もあるでしょう。ソフトによって、マイクの使い方が変わってくるでしょうし、逆にスピーカーは間違いなくリモコンで鳴るわけですから、こっちのほうがおもしろいとなったわけです。
─ スピーカーが付いたときの遊びを想像するだけで楽しくなっちゃいます。
宮本 でも、社内でのスピーカーに対する反応にはムラがあったんですよ。最初にスピーカーの話をしたときは、反応が全然なくて。あるときいくつかスピーカーのおもろい話をして、すごく盛り上がったんです。『ゼルダ』で回転斬りをすると「ビィーン」と鳴ったりとか、みんながすぐ思いつくのは『スター・ウォーズ』のライトセーバー。
─ それ、やってみたいですよね(笑)。
宮本 (ライトセーバーを振り回すポーズをとりながら)「ヴォン」って(笑)。それだけでも盛り上がったんですけど、いざスピーカーが付くことになったっていう案内を回したら、誰もアイデアに使う人がいなかったんです。だけど、誰かがスピーカーを使っておもろいことをやりだすと、みんな使いたがるんですよね(笑)。E3で『ピンポン』のデモを出したんですけど、あれは『ピンポン』を見せたかったわけじゃなくて、手元で「コンコン」鳴っているのを聞かせたかったんです。でも、E3の会場はうるさいんであまり聞こえなかったんですが(笑)。まぁ、『ピンポン』を商品化したときには、ちゃんとラケットで「コンコン」って鳴っていますので。そういった意味でも、どんな音が鳴るのかっていうのも大事なことですよね。
─ E3ではWiiリモコンに慣れると、これまでのコントローラに戻れなくなるっていう話をされてましたね。
宮本 それはね、リモコンでフリースタイルに慣れて遊んでしまったものを、両手で持つコントローラに戻すと、両手が動かないからとても不自由に感じるっていうことですね。けど、今までのコントローラを否定するつもりも全然ないんです。クラシックコントローラっていう従来型のコントローラも準備していますしね。
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↑『ピンポン』のゲーム画面
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─ Wiiのリモコンだと、両手の幅が自由になるので、とてもリラックスした姿勢で遊べそうですね。
宮本 そうですね。例えば、ドラムをたたくゲームがあるとして、(リモコンを2つ持った姿勢をして)両手を振ってドラムをたたくのと、(従来のコントローラを持つ姿勢をして)ボタンを押して遊ぶのでは、まったく違うゲームになりますよね。けど、もちろん、これまでのコントローラで遊んだ方がいいゲームもあるわけです。(従来のコントローラを持つ姿勢で、前かがみになりながら)『F-ZERO』なんかで、ググッと画面に入り込むときは、今までのコントローラの方がいいでしょうし。ソフトによるってことですよね。
─ Wiiリモコンは、必ずしもタテに握る必要はなくて、その持ち方によって遊ぶソフトが変わっていくというのもおもしろいですよね。
宮本 もうゲームデザイナーの知恵次第というわけです。
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